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ドローン事故の原因は「初心者のミス」だけではない?経験者ほど注意したい見落としと事前確認

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ドローン事故の原因は「初心者のミス」だけではない?経験者ほど注意したい見落としと事前確認

ドローンの事故というと、「操縦に慣れていない人が起こすもの」という印象を持たれがちです。しかし実際には、ある程度飛行経験があり、機体の扱いに自信がある方でも、ほんの小さな確認漏れや設定ミスが原因で事故につながることがあります。日本国内の2015年度~2021年度の無人航空機事故分析では、事故要因が判明しているもののうち78%にヒューマンファクターが関与しており、複数要因が絡む事故では**「不十分な飛行計画」が82%**に関係していたと報告されています。つまり、事故の多くは機体の故障だけでなく、操縦者の判断や飛行前準備に大きく左右されるということです。 J-STAGE

経験者ほど起こりやすい「慣れ」による見落とし

飛行経験を重ねると、離陸までの流れが自然とルーティン化していきます。その結果、「いつも通りだから問題ないだろう」という感覚が生まれ、確認すべき項目を省略してしまうことがあります。ですが、ドローン事故ではこの“慣れ”こそが大きな落とし穴になります。飛行モード、スティックモード、GPS受信状況、周辺障害物、補助者との連携などは、離陸してから気付いても手遅れになるケースが少なくありません。だからこそ、操縦技術に自信がある方ほど、「腕前」よりも「確認」を重視することが大切です。

飛行モードの確認不足が事故につながることもある

ドローンには、一般的にNormalモード、Cineモード、Sportモードなど複数の飛行モードがあります。DJIの公式サポートでは、NormalモードはGNSSや各種センサーを活用して機体を安定させる推奨モードであり、Sportモードでは障害物検知が無効化されることが案内されています。さらにPhantom 4のマニュアルでは、Sportモードでは障害物を自動回避できず、無風状態であっても最低50mの制動距離が必要になると記載されています。わずかなスティック操作でも機体が大きく動くため、ふだんと同じ感覚で操作すると接触や衝突のリスクが高まります。 DJI Support DJI

たとえば、前回の飛行でSportモードを使ったまま設定が残っており、そのことに気付かず次回の飛行を始めてしまうと、操縦者が想定していたよりも速く、そして鋭く機体が動くことがあります。狭い場所や建物の近く、樹木の多い場所では、こうした設定の見落としがそのまま事故に直結することもあります。特に「普段から飛ばしているから大丈夫」と思っている場面ほど、飛行モードの確認を怠らないことが重要です。

スティックモードの違いに気付かないまま離陸する危険性

もうひとつ見落とされやすいのがスティックモードです。スティックモードとは、上昇・下降、前後左右移動、旋回などの操作を左右どちらのスティックに割り当てるかという設定のことです。多くの機体ではMode 2が初期設定ですが、設定変更によって操縦系統は大きく変わります。DJIのマニュアルでも、慣れていない新しいスティックモードに変更しないよう注意が示されています。 DJI

この設定が怖いのは、機体故障のように大きな警告が出るわけではなく、操縦者が気付かないまま飛行を始めてしまう可能性があることです。たとえば、上昇させるつもりの入力が旋回や前進として反映されてしまえば、離陸直後の低高度で壁や設備、木などに接触する危険があります。操縦に慣れている人ほど反射的にスティックを操作するため、違和感に気付くのが一瞬遅れ、その一瞬が事故につながることがあります。

GPSが十分に取得できていない状態で飛ばすのは危険

GPSの受信が不十分、または不安定な状態で離陸してしまうことも、重大な事故原因のひとつです。DJI公式サポートによると、電源投入後にGPS信号の取得が安定するまで1〜3分程度かかる場合があり、建物の近く、屋内、樹木の下、高圧線周辺、強い磁気干渉のある場所ではGPS信号が弱くなったり失われたりしやすいと案内されています。さらに、GPS信号が弱い、あるいはコンパス干渉がある場合には、機体がATTIモードへ自動で切り替わることがあり、その状態では自動ホバリングや自動ブレーキが使えず、風や周辺環境の影響を受けて流されやすくなります。 DJI Support

つまり、「離陸できたから大丈夫」ではありません。GPSが安定していない状態では、ふだん当たり前に効いている位置保持が十分に働かず、少しの風でも機体が予想外に流されることがあります。とくに建物脇や金属構造物の近く、送電設備周辺では、操縦者が思っている以上に制御が難しくなることがあります。離陸前には、衛星捕捉の状態やコンパス異常の有無を落ち着いて確認する習慣が必要です。

機体設定だけでなく「機体そのもの」の点検不足にも注意

国土交通省の教則や飛行マニュアルでは、飛行前確認として、各機器の取付状況、ネジの緩み、モーターなどの異音、プロペラやフレームの損傷や歪み、通信系統・推進系統・電源系統・自動制御系統の作動状況、バッテリー残量などを確認することが求められています。 国土交通省 国土交通省

経験を積んだ操縦者ほど、「前回問題なく飛んだから今日も大丈夫」と考えてしまいがちですが、実際にはプロペラの小さな傷、コネクタの緩み、バッテリーの劣化、自動制御系の異常など、見た目には分かりにくい不具合が潜んでいることがあります。こうした不具合は、飛行後ではなく飛行前に発見しなければ意味がありません。飛行前点検は単なる形式的な作業ではなく、事故を未然に防ぐための最も基本的で重要な工程です。

周辺確認と補助者との連携不足も事故の原因になる

事故は、機体や操縦操作だけで起こるわけではありません。周辺環境の見落とし補助者との連携不足も、重大な事故につながります。国土交通省が公表している事故等報告一覧では、再発防止策として、離陸前のGPS受信状況や通信環境の確認を点検表へ追記した事例圃場周辺や障害物の位置を事前確認して安全な飛行経路を設定した事例補助者と合図方法や配置を確認し、死角となる場所を事前に洗い出した事例などが紹介されています。 国土交通省

操縦者からは安全に見えていても、別の角度から見ると電線や枝、ポール、ネット、作業員、車両などが危険な位置にあることがあります。業務利用では特に、操縦者だけでなく補助者の視点が安全性を大きく左右します。「自分には見えているつもり」という感覚こそが危険であり、飛行前には立ち位置、役割分担、合図、緊急時の中止判断まで共有しておく必要があります。

事故を防ぐために、飛ばす前に確認しておきたいこと

事故を防ぐためには、経験の有無にかかわらず、飛ばす前に基本事項を着実に確認することが大切です。まず、その日の飛行モードがNormalなのかCineなのかSportなのかを確認し、前回の設定が残っていないかを見直すこと。次に、スティックモードが自分の想定通りになっているかを確認し、別モードに変更されていないかを確かめること。さらに、GPS受信とコンパス状態が安定しているか、周辺に干渉源がないかを確認し、位置保持に不安がある状態では離陸しないことが重要です。 DJI Support DJI DJI Support

加えて、プロペラ、フレーム、バッテリー、通信系統、自動制御系統など機体全体の状態を確認し、損傷や異常の兆候がないかを点検することも欠かせません。飛行場所では、周辺の障害物、人、車両、他の無人航空機、航空機、風向きや風速まで含めて確認し、安全な飛行経路を選定する必要があります。補助者を配置する場合には、立ち位置や合図方法、死角の共有、緊急時の対応まで事前に打ち合わせておくことが、事故防止につながります。 国土交通省 国土交通省 国土交通省

最後に|操縦技術だけでなく「機体管理」も事故防止には欠かせない

ドローンの安全運用では、操縦技術や飛行前確認だけでなく、日頃の機体管理を確実に行うことも非常に重要です。国土交通省が定める無人航空機の飛行日誌では、飛行のたびに行う日常点検記録と、修理・改造・部品交換・定期点検などを記録する点検整備記録の管理が求められています。日常点検記録には、実施日・場所・実施者・点検結果・不具合の有無などを、点検整備記録には、整備内容や交換部品名、実施理由、総飛行時間などを記録することとされています。こうした記録を継続して残すことは、単なる事務作業ではなく、機体の状態を正しく把握し、事故の予兆を見逃さないための大切な管理です。 国土交通省 国土交通省

また、機体のファームウェアが古いままになっていないか、ジンバル設定やキャリブレーションに異常がないかといった確認も忘れてはいけません。メーカーも、ファームウェアを最新の状態に保つことで機能性や安定性が向上し、古いバージョンを使い続けると性能に影響する可能性があると案内しています。さらに、ジンバルの傾きや設定不良は、飛行時の映像品質だけでなく、機体状態の異常を見逃すきっかけにもなり得るため、必要に応じてキャリブレーションや微調整を行うことが大切です。「飛ばす前の確認」と「飛ばした後の記録」、そして「機体管理の継続」まで含めて、安全運用の一部であるという意識を持つことが、事故防止につながります。 DJI Support DJI Support

まとめ

ドローン事故は、決して初心者だけの問題ではありません。むしろ、操縦に慣れている人ほど、設定確認や周辺確認を省略してしまい、思わぬ事故に巻き込まれるリスクがあります。飛行モード、スティックモード、GPS受信、機体点検、周辺環境、補助者との連携、そして日常点検記録や整備点検記録、ファームウェアやジンバル設定を含めた機体管理まで、すべてが安全運用には欠かせない要素です。
「自分は大丈夫」と思えるときほど、一度立ち止まって確認すること。
そのひと手間が、機体を守り、現場を守り、第三者の安全を守ることにつながります。

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