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無人航空機とは?法律・定義・ドローンとの違いまで徹底解説【2025年版】

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無人航空機とは?法律・定義・ドローンとの違いまで徹底解説【2025年版】

目次

無人航空機とは?その定義とドローンとの違い

無人航空機とは、人が搭乗せず遠隔操作や自律飛行によって飛行する航空機の総称です。一般に「ドローン」という呼び名で浸透していますが、法律上は無人航空機という用語で規定されており、模型航空機などと区別されています。技術革新により、小型で高性能な機体が普及し、産業や農業、測量、エンタメまで幅広く活用が進んでいます。ここでは無人航空機の定義と、よく混同されるドローンやラジコン飛行機との違いを詳しく説明します。

航空法における無人航空機の定義

航空法では「無人航空機」とは、人が乗らず遠隔操縦または自動操縦で飛行する航空機を指し、具体的には200g(現在は100gに改正)以上の機体を対象としています。これには回転翼型(マルチコプター型)のドローンだけでなく、固定翼型やVTOL(垂直離着陸機)なども含まれます。
法律上の重要なポイントは「航空の用に供する」ことが条件であり、模型飛行機やトイドローンのような単なる玩具とは区別されます。また、航空法では無人航空機の飛行場所や飛行方法に関して詳細な規制が定められており、違反すれば罰則が科されるため、正しく定義を理解することが大切です。

ドローンは無人航空機に含まれるのか

結論から言えば、ドローンは無人航空機に含まれます。ドローンという言葉はもともと軍事分野の無人偵察機を指していたものが、現在ではマルチコプター型無人航空機を中心に広く一般化した呼称です。
一方で法律上の表現はあくまで「無人航空機」であり、機体の形状にかかわらず、航空法で規制の対象になる機体は全て無人航空機に区分されます。つまりドローンは無人航空機の中の一カテゴリーである、という理解が正確です。

モデル航空機・ラジコンと無人航空機の違い

混同されやすいのが模型航空機(ラジコン飛行機)との違いです。航空法では、模型航空機とは「人が搭乗しない、航空の用に供しない目的で飛行する機体」とされています。つまりホビー目的の小型ラジコンなどは模型航空機として扱われ、無人航空機とは異なる位置づけになります。
しかし、模型航空機でも100g以上の重量があり、かつ一定の高度や場所で飛行する場合には航空法上の無人航空機として扱われるケースもあるため注意が必要です。とくに商業利用や業務利用で飛ばす場合は、模型航空機か無人航空機かの線引きが曖昧になるため、必ず法的な区分を確認して運用することが大切です。

無人航空機に関連する法律と規制

無人航空機は、便利で多用途に活用できる反面、空の安全や地上の人・物件に危険を及ぼす可能性があるため、厳格に法律で規制されています。特に航空法では、飛行場所や方法に応じた許可・承認制度、無人航空機の登録義務、リモートID搭載義務などが定められています。これらを理解せずに運用すると罰則を受ける可能性もあるため、事前に法律やルールをきちんと把握しておくことが必要です。

飛行許可・承認が必要なケース

無人航空機の飛行は、航空法により飛行空域や方法が厳しく制限されています。たとえば、空港周辺や人口集中地区(DID)、150m以上の高度を飛行する場合は、国土交通大臣の許可・承認が必要です。さらに夜間飛行、目視外飛行、物件投下といった特別な飛行方法についても許可が義務付けられています。許可を得ずに飛行した場合は処罰の対象となり、行政処分を受けるリスクがあります。業務で無人航空機を利用する方は特に十分な知識と事前申請が不可欠です。

無人航空機の登録制度とリモートID

2022年6月から無人航空機の登録制度が開始され、原則として100g以上の機体は国土交通省へ登録する義務があります。登録後には機体にリモートIDを搭載し、周囲に機体情報を電波で発信することが求められます。これにより、飛行中の機体を特定しやすくし、事故や違法飛行の抑止を図っています。未登録の無人航空機は原則飛行できないため、必ず機体の登録とリモートID対応を済ませることが重要です。

改正航空法のポイントを押さえる

航空法は無人航空機の普及に合わせて何度も改正されてきました。直近では2022年の改正でレベル4(有人地帯での補助者なし目視外飛行)が認められ、物流や災害対応の分野での利用が大きく前進しました。さらにリモートID義務化も盛り込まれるなど、法律は今も進化しています。飛行ルールだけでなく、資格制度や操縦者の責任範囲についても改正が続いているため、最新情報を継続的にチェックする姿勢が求められます。

無人航空機の種類と活用分野

無人航空機は近年、技術の進歩により活用分野が大幅に広がりました。趣味用途から、産業・農業・防災・物流・測量といった社会インフラに至るまで、さまざまな現場で利用されています。ここでは無人航空機の代表的な種類と、それぞれの活用分野について具体的に解説します。

産業用無人航空機の主な活用例

産業分野では、無人航空機は空撮だけでなく、インフラ点検、測量、建設現場の進捗管理、災害調査など多岐にわたる用途で活躍しています。従来は人が立ち入るのが難しい場所や危険を伴う作業も、無人航空機を活用することで効率化・省人化が可能です。とくに測量分野ではドローンによる3Dマッピングが普及し、施工の品質管理に役立てられています。また、橋梁や送電線の点検なども人手より短時間で実施できるため、社会インフラの維持管理において重要な役割を果たしています。

農業用ドローンの特徴

農業分野でも無人航空機の活用が進んでいます。農薬散布や肥料散布、播種(種まき)などを無人航空機で行うことで、作業負担を軽減し、人手不足の解消にも貢献しています。とくに近年は、地形や作物の成長状況に応じた可変散布を行うスマート農業技術が注目されています。農業用ドローンは一定の資格や安全管理が求められるものの、その高い効率性から農家にとって大きな武器となりつつあります。

趣味・ホビー用途の無人航空機

無人航空機は趣味・ホビーの分野でも幅広く親しまれています。空撮を楽しむカメラドローンや、レース用ドローンなど、さまざまな機体が市販されており、初心者から上級者まで多様なニーズに応えています。特に100g未満のトイドローンであれば法規制も比較的ゆるやかで、気軽に始められるのが魅力です。とはいえ、屋外で飛行する場合には航空法や小型無人機等飛行禁止法の対象となるケースもあるため、ホビーでもルールを守った運用が欠かせません。

安全運航に必要なルールとリスク管理

無人航空機は利便性の高いツールである一方、操縦ミスや機体の不具合により事故が発生するリスクを常に伴います。安全に運航するためには、法律で定められたルールを守ることに加えて、操縦者自身が十分な知識と準備を整えることが欠かせません。ここでは、無人航空機を安全に飛行させるための基本的な考え方やリスク管理について解説します。

無人航空機の事故例と防止策

無人航空機の事故として多いのは、バッテリー切れや通信障害による墜落、人に接触する衝突事故などです。事故が起きると第三者に被害を及ぼすだけでなく、操縦者にも法的責任が問われます。防止策としては、飛行前点検の徹底、飛行計画の適正化、操縦技術の向上などが挙げられます。特に初心者の場合、最初は目視内での飛行に限定し、安全を確認しながら技量を磨くことが推奨されます。

安全に運航するための管理体制

無人航空機を継続的に運用する場合は、安全管理体制の構築が必須です。操縦者のスキルだけに依存せず、飛行マニュアルや点検記録の整備、飛行区域の安全確保などを組織的に管理しましょう。事業での活用であれば、第三者賠償保険への加入や操縦者教育の仕組みを整えることで、リスクを大幅に減らせます。万一事故が起きた場合の対応マニュアルを用意しておくことも重要です。

万一のトラブルに備える保険の基礎知識

無人航空機の飛行には予期せぬリスクがつきものです。機体の破損だけでなく、墜落により第三者にケガや損害を与える可能性もあるため、保険への加入は強く推奨されます。主に「機体保険」と「第三者賠償責任保険」の2種類があり、どちらも事業用途での飛行には必須といえます。ホビー用途であっても、規模によっては保険に入ることで安心して飛行を楽しむことができます。

無人航空機の免許・資格・技能証明

無人航空機を安全かつ合法的に運用するためには、必要に応じた免許や資格の取得が求められます。航空法改正に伴い、国家資格である無人航空機操縦士制度が導入され、操縦者の技能や知識の標準化が進められています。ここでは、無人航空機の操縦に関わる資格制度の概要と、資格を取得するまでの流れを詳しく説明します。

国家資格「無人航空機操縦士」とは

2022年12月に施行された国家資格「無人航空機操縦士」は、レベル4(有人地帯での補助者なし目視外飛行)を行う際に必須の資格です。1等・2等の区分があり、飛行のリスクに応じて取得が求められます。学科試験・実地試験に合格し、登録講習機関での講習を修了することで取得できます。資格を持つことで飛行の幅が広がり、業務における信頼性も大きく高まります。

民間の技能認証・講習制度について

国家資格のほかにも、各種民間団体が提供する技能認証や講習制度があります。これらは国家資格の前身的な位置づけで、多くの人が基礎的な操縦技術を身につけるために利用してきました。現在も民間資格を取得しておくことで、基本的な飛行ルールや安全管理を学べ、航空法に基づく許可・承認の取得にも役立ちます。

資格を取得するまでの流れ

無人航空機操縦士の資格を取るには、まず登録講習機関で講習を受け、基礎的な知識と技能を身につけます。その後、指定試験機関が実施する学科試験・実地試験を受験し、合格すれば免許が交付されます。受講前に必要な学習内容を自主的に把握しておくと、スムーズに進められるでしょう。資格制度は今後も改正される可能性があるため、最新情報を随時確認することが大切です。

無人航空機の市場動向と今後の展望

無人航空機はここ10年で急速に技術革新が進み、市場規模も大きく成長してきました。物流や防災、農業などの分野で社会的ニーズが高まっており、さらに航空法の改正や国家資格制度の整備により、より安全かつ効率的に運用できる環境が整ってきています。ここでは最新の市場動向と、今後期待される展望について詳しく見ていきます。

最新技術の進化とトレンド

近年の無人航空機は、AIによる自律飛行技術や衝突回避センサーの高度化、遠隔モニタリング技術の進歩などが目覚ましいです。また、5G通信の活用によりリアルタイムで高精細な映像を送信できるなど、より高度な運用が可能になりました。これらの技術革新により、無人航空機は単なる空撮ツールから、社会インフラの一翼を担う存在へと進化しつつあります。

海外における無人航空機の活用状況

海外では、日本よりも無人航空機の社会実装が進んでいる国が多くあります。たとえば中国では農薬散布や物流に無人航空機が広く利用されており、米国では災害救助や警備分野における導入が活発です。欧州各国も規制緩和を進め、ドローン配送の実証実験などに積極的に取り組んでいます。日本においても今後、こうした海外事例を参考にしながら制度や技術の普及がさらに加速していくと予想されます。

規制や法律の今後の見通し

日本では2022年の航空法改正でレベル4飛行が解禁され、無人航空機の社会利用が一歩進みましたが、さらにレベル5(完全自律飛行による都市部の大規模配送など)を見据えた制度整備が議論されています。今後も安全性と利便性のバランスを取りながら、段階的に規制がアップデートされていくでしょう。無人航空機に関連する法律は変化が速いため、操縦者や事業者は継続的に情報収集して対応する必要があります。

無人航空機の価格・導入コストの目安

無人航空機の価格は、用途や機能、搭載するカメラ・センサーの性能によって大きく異なります。さらに、運用コストや保守点検の費用も含めたトータルコストを把握しておかないと、思わぬ出費に悩まされるケースもあります。ここでは産業用からホビー用まで、無人航空機の価格帯や導入にかかるコストの目安について解説します。

産業用無人航空機の価格帯

産業用無人航空機は、高性能なカメラやLiDAR(ライダー)、農薬散布装置などを搭載できるため、数百万円から1000万円以上と非常に高額になる場合があります。さらに、機体そのものの価格だけでなく、飛行許可取得費用や資格取得、ソフトウェアライセンス料など、周辺コストがかかる点も注意が必要です。事前に必要な機能をしっかり洗い出し、無駄なオプションを省いて導入計画を立てることが重要です。

維持費・運用コストの内訳

無人航空機は購入後も維持費が発生します。例えば定期点検費用、消耗品の交換、保険料、バッテリーの買い替えなどが代表的です。業務利用の場合はさらに飛行計画の策定や安全管理体制の構築といった間接コストもかかります。特にバッテリーは寿命が短く、数年おきに買い替えが必要になるため、長期的なランニングコストを見積もっておくことが大切です。

中古機・レンタル・リースの選択肢

初期費用を抑えたい場合、中古機やレンタル・リースの活用も有力な選択肢です。最近ではドローン専門のレンタルサービスが充実しており、短期間の業務や実証実験で利用するケースが増えています。ただし中古機を購入する場合は、機体の整備状況や付属品の欠品がないか十分に確認しましょう。レンタルでも保険や飛行許可は利用者が責任を負うため、契約条件をしっかり把握してから利用することが肝心です。

無人航空機の選び方と購入ガイド

無人航空機は目的や利用頻度によって最適な機種が変わります。価格だけで決めるのではなく、必要な機能や性能、運用環境に合わせて機体を選ぶことが重要です。ここでは初心者向けから業務用まで、無人航空機選びで押さえるべきポイントを解説します。

初心者におすすめのモデル

初心者向けの無人航空機としては、100g未満のトイドローンやGPS搭載で安定性の高い小型ドローンがおすすめです。価格も数千円から購入でき、飛行操作を学ぶ入門機として適しています。衝突防止のセンサーや自動帰還機能がついたモデルなら、安全面でも安心して練習を重ねられます。

用途別に見る機体の比較ポイント

業務利用の場合は、搭載可能なカメラの画質や飛行可能時間、積載能力などが選定の重要ポイントです。農業分野なら散布量や散布精度、測量分野なら精密な位置情報を取得できるRTKシステムの有無がカギになります。趣味用途でも空撮目的ならジンバル性能を重視し、レース用ならスピードや旋回性能を重視するといった具合に、用途にあわせて比較検討が必要です。

信頼できる販売店・レンタル業者の選び方

無人航空機は法律や技術の変化が速いため、購入後のサポート体制がしっかりしている販売店を選ぶのが安心です。購入前に機体の操作説明や、許可・申請に関するアドバイスが受けられるか確認しましょう。レンタル業者についても、万一の故障時に代替機の手配ができるか、保険や飛行許可のサポートがあるかなど、契約前に十分チェックすることが大切です。

よくある質問

ここでは、無人航空機に関して多く寄せられる質問にQ&A形式でまとめてお答えします。これから無人航空機の導入を検討している方や初心者の方にも役立つ内容ですので、ぜひ参考にしてください。

ドローンは免許なしで飛ばせますか?

100g未満のトイドローンであれば、原則として免許や資格は必要ありません。ただし、100g以上の無人航空機を飛行させる場合は航空法の規制対象となり、飛行場所や飛行方法によっては許可・承認、さらに国家資格が必要になるケースもあります。必ず飛行する場所と機体の条件を確認してください。

100g以下の無人航空機は登録不要ですか?

2022年の航空法改正以降、登録義務の対象は100g以上の無人航空機とされています。そのため100g未満の機体は現在のところ登録不要です。ただし、将来的に制度変更の可能性もあるため、最新情報を定期的に確認することをおすすめします。

無人航空機とドローンの違いは何ですか?

ドローンは無人航空機の一種で、特にマルチコプター型の無人航空機を指すことが多いです。一方、法律用語としての「無人航空機」は人が乗らない遠隔操作または自律飛行の航空機すべてを含みます。したがって、ドローンは無人航空機のカテゴリーの中に含まれる言葉だと理解してください。

無人航空機操縦士の合格率はどれくらい?

無人航空機操縦士の試験は、1等・2等ともに学科と実技の合格が必要で、合格率はおおむね70〜80%程度とされています。講習を受けた後に試験に臨む人が多く、実地試験の内容を十分に練習すれば合格は難しくありません。

航空法の最新改正にどう対応すればいいですか?

航空法は数年おきに改正されるため、最新情報を常に確認して対応することが不可欠です。国土交通省のホームページや自治体の案内などで情報収集し、必要に応じて許可申請や機体登録、操縦資格の取得を行いましょう。資格を持つ講習機関に相談するのも有効です。

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