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ドローン測量 完全ガイド|基礎知識から機材選定・法規制・実践手順まで

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ドローン測量 完全ガイド|基礎知識から機材選定・法規制・実践手順まで

ドローン測量の基礎知識

ドローン測量とは、無人航空機(UAV)を使って空中から地形や構造物を撮影し、得られた写真やセンサーデータを専用ソフトで解析して、従来の地上測量と同等の成果物(等高線図、デジタル標高モデル(DEM)、オルソモザイク画像など)を作成する手法です。初めて導入する際は「なぜドローンで測量を行うのか」「どのようにして正確な数値データを得るのか」という基本的な仕組みや必要な知識を理解しておくことが重要です。このセクションでは、ドローン測量の定義から技術的な背景、従来測量との比較までを具体的に解説します。

ドローン測量の定義と仕組み

ドローン測量は、ドローンに搭載した高解像度カメラやLiDARセンサーを利用して、地上を俯瞰的に撮影・スキャンし、そこで取得した複数枚の画像や点群データをコンピュータ上で処理して地形や構造物の3次元モデルを生成する技術です。具体的には以下のような流れで進みます。

機体とセンサーの準備

  • マルチローター機(例:DJI Phantom 4 RTK、DJI Mavic 3 Enterprise)や固定翼型(例:senseFly eBee)などのドローンに、RGBカメラ、LiDAR、あるいはマルチスペクトルカメラを取り付ける。
  • RTK(リアルタイムキネマティック)やPPK(ポストプロセスキネマティック)に対応したGNSS受信機を搭載することで、撮影位置の高精度座標をリアルタイムあるいは後処理で取得できるようにする。

飛行計画の作成

  • 飛行高度、飛行経路(ウェイポイント)、カメラの撮影間隔(前後オーバーラップ率80~90%、左右オーバーラップ率60~70%を推奨)をミッションプランナー(例:DJI Terra、Pix4Dcapture、DroneDeploy)に設定する。
  • 必要に応じて地上基準点(GCP:Ground Control Point)を事前に設置し、正確な位置座標をRTK/PPK機器で測定しておく。

空中撮影・データ収集

  • 設定した飛行計画に基づいてドローンを飛行させ、地形全体を重複撮影する。
  • LiDAR搭載機の場合はレーザーパルスを地面に照射し、反射時間から得た点群データを同時に収集する。

データ処理と解析

  • 写真測量(フォトグラメトリ)ソフト(例:Pix4D、Agisoft Metashape、DroneDeployなど)で、複数枚の撮影画像を重ね合わせ、共通の特徴点をマッチングしてカメラポジションを推定。
  • SfM(Structure from Motion)処理を行い、3次元の点群モデルを作成。
  • DTM(デジタル地形モデル)、DEM、オルソモザイク画像を生成し、必要な成果物(等高線図、体積計算表、3Dビューワ用データなど)を出力する。

成果物の精度検証

  • GCPを用いて得られた位置誤差を解析し、XY方向・Z方向の標準偏差を確認する。RTK/PPKを利用した場合、一般的にはXY方向で1〜3cm、Z方向で2〜5cm程度の精度が期待できる。こうした一連の流れを通じて、従来の地上測量では数日かかる広域測量を、数時間〜数十時間程度で終えることが可能になります。

フォトグラメトリ(SfM)による3Dモデル生成

フォトグラメトリ(Photogrammetry)とは、複数枚の重複撮影された写真から、被写体の3次元形状を計算・再構築する技術です。ドローン測量では、このフォトグラメトリを応用し、SfM(Structure from Motion:動きから構造を推定)アルゴリズムを用いて3Dモデルを作成します。具体的なステップは以下の通りです:

  1. 特徴点抽出とマッチング
    • 撮影した各画像から、SIFTやSURFといったアルゴリズムで特徴点を検出し、異なる画像間で同一の特徴点をマッチングさせる。
    • 画像間で一致する特徴点が一定数以上あることで、カメラ位置および向き(外部パラメータ)が推定できる。
  2. カメラキャリブレーション
    • レンズの歪み(ディストーション)や焦点距離などの内部パラメータを自動キャリブレーションし、画像上のピクセル位置と実際の撮影方向を正確に対応付ける。
  3. バンドル調整(Bundle Adjustment)
    • マッチングした特徴点の3次元位置と撮影カメラのパラメータを同時に最適化し、全体の誤差を最小化する。
    • これにより、各画像の撮影位置(XYZ座標)と向き(ロール・ピッチ・ヨー)が高精度に推定される。
  4. 点群生成およびメッシュ化
    • 精度の高いカメラパラメータをもとに、三角測量(トライアングレーション)を適用して稠密点群(Dense Point Cloud)を生成する。
    • 点群をメッシュ(ポリゴン)化し、テクスチャを張り付けることで、リアルな3次元モデルを得る。
  5. 成果物出力
    • 生成した点群やメッシュをもとに、DEM(デジタル標高モデル)、DSM(デジタル表層モデル)、オルソモザイク画像、等高線データなどを出力する。
    • 点群データはLAS/LAZ形式、メッシュはOBJやPLY形式、オルソ画像はGeoTIFF形式でエクスポートでき、GISソフトやCADソフトにも取り込める。

フォトグラメトリを用いることで、地上からは取得困難な地形(崖や斜面、植生に覆われた地表など)も高精度にデジタル化でき、土量計算や地形変化のモニタリングなど多様な用途に活用できます。

従来測量との比較:メリットとデメリット

メリット

  1. 広範囲を短時間で計測できる
    • 数十ヘクタール規模の農地や建設現場でも、1時間以内に高精度なデータを取得可能。従来の地上測量では、同規模の現場を測量するには数日から一週間程度かかるケースが多い。
  2. 安全性の向上
    • 急斜面、崖下、災害時の不安定な地形など、人が立ち入るのが危険な場所でも、ドローンで飛行しながらデータを収集できるため、作業員の安全リスクを大幅に低減できる。
  3. コスト削減
    • 測量に要する人件費や機材レンタル費を抑えられる。例えば、トータルステーションやレベル機を使った地上測量では複数名体制が必要だが、ドローン測量では操縦者+補助者1名程度で済むことが多い。
  4. 詳細な視覚情報を同時に取得
    • 写真やオルソ画像を生成することで、測量結果を視覚的に把握しやすく、関係者間での共有やレポート作成が容易になる。

デメリット/注意点

  1. 天候条件の影響
    • 雨天・強風・濃霧などの悪天候時はドローンの飛行が制限される。特に雨水など水滴がカメラレンズに付着すると写真測量の精度を大きく損なうため、晴天または薄曇りの状況での撮影が推奨される。
  2. 光の条件による誤差
    • 強い日差しによる白飛びや影の入り込みは、テクスチャ品質や点群生成に影響を与える。撮影時間帯は午前10~午後2時を避け、影が少ない「薄曇りの午前中」を狙うと安定した成果物が得られやすい。
  3. 法規制・許可手続きの負担
    • 日本国内では航空法に基づき、目視外飛行(BVLOS)、夜間飛行、人口集中地区での飛行などには事前に国土交通省の許可が必要。許可申請には飛行経路図や安全マニュアルの準備が必須で、審査に10~15営業日かかる場合もあるため、スケジューリングに余裕を持つ必要がある。
  4. 初期投資コスト
    • RTK/PPK対応ドローン、LiDARセンサー、GCP用GNSS受信機など高精度機材をそろえると、数百万円単位の初期費用が発生する。中小規模の事業者にとっては導入コストがネックになることがある。
  5. 解析ソフトウェアの習得コスト
    • Pix4DやMetashapeなどのソフトウェアは高機能だが、操作には一定の学習が必要。特にSfMパラメータの最適化や点群編集など、習熟するまでに時間を要する場合がある。

これらを踏まえたうえで、現場の規模や必要精度、予算、スケジュールを考慮し、ドローン測量を導入すべきかどうか、どのような機器・手法を選ぶかを検討することが重要です。

必要機材と選び方ガイド

ドローン測量を成功させるには、まず適切な機材選定が不可欠です。機体の種類や性能、搭載センサー、さらには飛行計画や解析ソフトまでを一体的に検討しなければ、必要な精度や効率を確保できません。この章では、測量用途に適したドローン機体の特徴から、精度を左右するRTK/PPK対応の要点、各種センサーの違い、さらには飛行計画作成や解析で用いる周辺機器・ソフトウェアまでを網羅的に解説します。

ドローン機体の種類と特徴

ドローン機体には大きく「マルチローター機」と「固定翼型機」の2種類があります。それぞれの特性を理解し、現場規模や測量目的に応じて選ぶことが重要です。

  • マルチローター機(クアッドコプターなど)
    • 特徴:ホバリング(その場で静止)や垂直離着陸が可能で、機動性が高く狭小地や軒下などでも飛行しやすい。飛行高度を細かく制御できるため、建築物周りの詳細な撮影にも適する。
    • 代表機種例
      • DJI Phantom 4 RTK:内蔵RTKモジュールによりセンチメートル級の測位精度を実現。飛行時間は約30分。軽量・コンパクトで初めての測量でも扱いやすい。
      • DJI Mavic 3 Enterprise:折りたたみ式で持ち運び性が高く、センサー交換や拡張がしやすい。50MPカメラと二周波RTKが搭載されており、高精度な画像測量が可能。
    • メリット・デメリット
      • メリット:狭小地や複雑地形での飛行に強い。ハンドオーバーや緊急停止が容易。比較的低コスト。
      • デメリット:広大なエリアを高速で飛ぶには複数回のバッテリー交換が必要になり、効率が落ちる。
  • 固定翼型機(VTOL含む)
    • 特徴:固定翼機は滑空性能を活かして長時間・長距離の飛行が可能。VTOL(Vertical Take-Off and Landing)機は垂直離着陸機能を備えつつ、巡航時は固定翼機のように飛行できる。
    • 代表機種例
      • senseFly eBee X:最大90分の連続飛行が可能で、最大Coverageは約1,200ha/飛行。高精度GNSSモジュール搭載で広域測量に強い。
      • WingtraOne:VTOL機でありながら最大55分の飛行時間を確保。150ha/飛行(200m高度)をカバーでき、固定翼機と同様に安定した写真測量が可能。
    • メリット・デメリット
      • メリット:広範囲の測量を一度にこなせるため、バッテリー交換によるロスタイムを最小化できる。特に農地や造成地、山岳地帯など50~100haを超える大規模現場ではコスト効率が高い。
      • デメリット:離着陸には滑走路または一定スペースが必要(VTOL機は若干緩和されるが、機体自体が大型)。高度な操縦技術が求められるため、初学者にはハードルが高い。
      • 精度重視のRTK/PPK対応機体の選び方
      • 測量精度を確実に担保するためには、GNSS測位方式としてRTK(リアルタイムキネマティック)またはPPK(ポストプロセスキネマティック)に対応した機体を選ぶことが必須です。
      • RTK vs PPK の違い
        • RTK:リアルタイムで基地局と通信しながら位置補正を行う方式。飛行中にGNSS信号を受信して数センチ単位の測位が可能。通信環境(電波状況)による影響を受けやすく、基地局の設置や電波確保が必要。
        • PPK:飛行後にドローンに記録されたログデータと基地局データを後処理して精度補正を行う方式。電波環境の悪い場所でも高精度な補正が可能で、基地局とのリアルタイム通信が不要。ただし、後処理作業が発生し、結果が出るまでに時間を要する。
      • 選定ポイント
        • 内蔵RTKモジュールの性能:基地局と通信する周波数帯域や対応チャンネル数(GPS/GLONASS/Galileo/BeiDou など)を確認し、周辺環境でのマルチGNSS受信可否を見極める。
        • PPK対応可否と後処理ソフト連携:ドローン本体のログ形式(.ubx、.rinexなど)を解析ソフトがサポートしているか、あるいはベンダーが提供する後処理ツールが使いやすいかをチェック。
        • 精度保証スペック:メーカー公表の水平精度(XY)・垂直精度(Z)の数値を比較し、現場の許容誤差(例:造成工事なら5cm以内、土木測量なら3cm以内など)に見合う機体を選定する。
        • 運用環境に応じた基地局設置:基地局を自前で用意する場合は、アンテナ性能や送信出力を確認。既存のCORSネットワークを利用する際は対応エリアや月額費用を前もって調べておく。
      • おすすめ機種例
        • DJI Phantom 4 RTK:センチ級測位が可能な一体型RTKソリューションを搭載。測量初心者でも扱いやすく、国内のCORS利用や自前基地局構築にも対応。
        • DJI Mavic 3 Enterprise Series:RTKモジュール内蔵で、耐風性能や飛行安定性が高い。小規模現場や崖地などでも安定した飛行が可能。
        • senseFly eBee X + RTK/PPKオプション:固定翼機としての長時間飛行に加え、高精度のRTK/PPKモジュールを搭載し、広大な地域でもセンチ級の測位精度を実現。

センサー選定:RGBカメラ・LiDAR・マルチスペクトルの違い

ドローン測量では、搭載するセンサーの種類によって得られる情報と活用用途が大きく異なります。ここでは、代表的な3種類のセンサーを比較し、現場の目的に応じた選定ポイントを解説します。

  1. RGBカメラ(写真測量用カメラ)
    • 特徴:一般的に最も安価で取り扱いやすい。高解像度(20~50MP)のフルフレームや1インチセンサー機を搭載することで、細部まで鮮明なオルソ画像やテクスチャ付き3Dモデルを作成できる。
    • 用途例:道路や建築物の外観調査、土量計算(盛土/切土の体積算出)、オルソ画像による地形把握、集落や農地の空中写真分析など。
    • 選定ポイント
      • 画素数とセンサーサイズ:地上解像度(GSD:Ground Sampling Distance)が0.5~2cm程度を確保したい場合は、最低でも20MP以上かつ1インチセンサー搭載機を推奨。
      • レンズ歪み補正機能:広角レンズほど歪みが大きくなるため、自動歪み補正対応やキャリブレーション済みレンズの有無をチェック。
      • ジオタグ機能:撮影時にGPS座標を画像に埋め込むジオタグが正確であるほど、後処理の手間と誤差が減る。
  2. LiDARセンサー(レーザー測深装置)
    • 特徴:レーザーパルスを地表面や樹木などに照射し、反射時間を計測して高密度の点群データを取得する技術。樹木の枝葉を透過して地面の地形を検出できるため、森林地帯や茂みが多い地域の地形把握に強みがある。
    • 用途例:森林管理や樹木計測、災害リスク予測(斜面崩壊箇所の詳細地形把握)、インフラ点検(送電線下の地形認識)など、オルソ画像では視認困難な場所の3Dデータ取得。
    • 選定ポイント
      • レーザーパルスの発射周波数(Hz)とビーム数:高密度点群が必要な場合は高周波数・複数ビーム系センサーを選ぶ。
      • 精度とレンジ:地表面との垂直精度(数cm台か数十cm台か)や最大測距距離を確認し、現場環境(開けた場所か密林帯か)に合うか検討。
      • 搭載重量とバッテリー消費:LiDARユニットは重く、消費電力も大きいため、マルチローター機では機体のペイロードと飛行時間を勘案して選定する。
  3. マルチスペクトル/赤外線カメラ
    • 特徴:可視光だけでなく、近赤外線や赤色帯など複数の波長を同時に撮影できるカメラ。植生指標(NDVI、GNDVIなど)の算出が可能で、農業分野や環境モニタリングに利用される。
    • 用途例:作物の生育状況モニタリング、土壌水分量推定、植生健康度評価、環境保全調査(湿地や藻場の状況把握)など。
    • 選定ポイント
      • 波長バンド数とバンド幅:目的の植生指数を算出するために必要なバンドを備えているか確認。NDVIのみであれば赤+近赤外の2バンドで足りるが、複数検査を行う場合は追加バンドをチェック。
      • キャリブレーションプレートの使用可否:フィールドでの正確な波長・輝度校正ができるかどうか。
      • 写真測量ソフトとの連携:取得データをそのまま解析ソフトにインポートできるフォーマット(GeoTIFFなど)で出力可能か確認。

これら3種のセンサーを組み合わせたり、用途に応じて使い分けたりすることで、現場のニーズに最適な測量データを取得できます。たとえば、林業調査ではLiDARで地形と樹冠構造を把握し、RGBカメラで樹木の目視検査を行い、マルチスペクトルで生育状況を確認する、といったマルチセンサー運用が効果的です。

飛行計画・解析ソフトと周辺機器

ドローン測量においては、正確なデータ収集と効率的な解析を実現するために、飛行計画ツール、解析ソフトウェア、地上基準点(GCP)用機材など複数の周辺機器を組み合わせます。

  1. 飛行計画作成ソフト(ミッションプランナー)
    • 主要ソフト例:DJI Terra、Pix4Dcapture、DroneDeploy、Litchi、UgCS など。
    • 選定ポイント
      • インターフェースの操作性:現場担当者が直観的に使えるか、ウェイポイント設定やオーバーラップ率・飛行高度の調整が簡単か。
      • 事前シミュレーション機能:予想飛行時間や想定カバレッジを自動計算し、バッテリー残量を踏まえた複数ミッションの作成が容易か。
      • RTK連携機能:RTK基地局情報をリアルタイムに取り込めるか。CORSネットワーク接続や自前基地局とのリンク設定が可能か。
      • 高度図や障害物情報のインポート:DEMや3Dモデルを読み込んで、事前に障害物や高低差を確認しつつ安全ルートを作成できるか。
  2. 解析ソフトウェア(写真測量・点群処理)
    • 代表的な解析ソフト:Pix4Dmapper、Agisoft Metashape、DroneDeploy Teams、ContextCapture(Bentley)、RealityCapture など。
    • 選定ポイント
      • 処理スピードと精度:ローカルPCでのGPU活用可否、クラウド処理のサポート、並列処理機能を持つか。複数コア・GPU環境をフル活用して高速に処理できるソフトか検証。
      • 成果物フォーマット対応:出力可能なデータ形式(GeoTIFF、LAS/LAZ、OBJ、DXFなど)が用途に合致しているか。
      • ライセンス形態とコスト:永久ライセンスかサブスクリプションか、複数ユーザーで共有可能か、年間維持費が現場予算に見合うか。
      • 自動品質評価機能:GCP誤差やブロック再投影誤差を自動リポートする機能があり、品質管理が効率化できるか。
  3. 地上基準点(GCP)測量用機材
    • RTK/PPK対応GNSS受信機:Trimble、Leica、Topcon、Spectra Precisionなどが提供する高精度受信機。
    • GCPマーカー(反射板)と三脚:明るいカラーコントラストの反射マーカーを使用し、撮影画像で容易に検出できるデザインを選ぶ。標高差のある現場では三脚を伸縮させて正確に水平を取ることが重要。
    • アンテナ設置用品:三脚固定用クランプ、スマホアプリやタブレットで受信機をモニタリングするための防水・耐衝撃ケース、日差し避け用サンシェードなど、現場での運用効率化につながるアクセサリを揃える。
  4. データ転送・バックアップ機器
    • SDカードリーダーとポータブルSSD:現場で複数枚のSDカードを高速に読み込み、バックアップできるポータブルSSDを準備。
    • ノートPCスペック:CPUはIntel i7以上、GPUはCUDA対応のNVidia製カード(例:RTXシリーズ)、メモリ32GB以上、SSD 1TB以上を推奨。現場で仮プレビューや粗チェックを行う場合に快適な処理速度を確保。

これら周辺機器とソフトウェアを適切に組み合わせることで、ドローン測量の確実な品質管理と効率的なワークフローを実現できます。次のセクションでは、法規制と許可申請のポイントについて詳述します。

法規制と許可申請のポイント

ドローン測量を実行する際には、法律や条例を遵守しなければなりません。特に日本国内では航空法の制約が厳しく、許可を得ずに飛行すると罰則の対象となる場合があります。本章では、航空法を中心とした規制の概要から地方自治体の飛行禁止区域、実際のDIPSを使ったオンライン申請の流れ、許可後に現場で守るべき安全対策までを具体的に解説します。

航空法におけるドローン測量の規制概要

日本の航空法では、無人航空機(ドローン)の飛行は原則として「人や物件から30m以上の距離を保ち、日中・目視範囲内で飛行する」ことが義務付けられています。これらの条件に該当しない場合、たとえば以下のようなケースでは国土交通省への「飛行許可・承認申請」が必要です。

  • 目視外飛行(BVLOS):測量時に広い範囲を一度に撮影するため、目視範囲外へ機体が飛行する場合。
  • 夜間飛行:日の出前や日没後に飛行するケース。暗所では障害物回避が難しいため、許可要件が厳格化される。
  • 第三者・第三者物件上空飛行:住宅地や工場敷地など、人や建物から30m以内の飛行を行う場合。
  • 人口集中地区(DID)での飛行:国土地理院が指定する人口集中地区では、飛行の安全確保が求められ、特に厳格な申請審査が行われる。
    申請の際は「申請書」「飛行経路図」「操縦者の安全対策マニュアル」「機体スペックシート」などを揃え、DIPS(ドローン情報基盤システム)を通じてオンラインで提出します。承認には通常10~15営業日かかるため、スケジュールには余裕を持って申請しましょう。

地方自治体の条例確認と飛行禁止区域

航空法で許可を得ても、地方自治体が独自に定めた条例によってドローン飛行が制限される場合があります。各都道府県や市区町村のウェブサイトで「ドローン 飛行条例」「ドローン 禁止区域」などを検索し、以下のポイントを確認してください。

  • 市街地公園や文化財保存区域:多くの自治体で観光客や住民の安全確保のため、公園内や文化財周辺でのドローン飛行を禁止していることがあります。
  • 空港周辺の制限:空港周辺では飛行ルートが厳しく制限され、航空法の申請とは別に地元空港管理者への連絡が必要となる場合があります。
  • 学校・病院敷地内:児童や患者のプライバシー・安全を守るため、敷地内や周辺上空の飛行を禁止している自治体もあります。
  • 自然公園・国立公園:自然保護の観点から、許可なく飛行ができない区域が指定されることがあるため、環境省の指定マップも確認する必要があります。
    事前に各自治体の問い合わせ窓口へ電話やメールで確認し、飛行禁止区域の最新情報を把握しておきましょう。違反すると罰金や飛行中止命令のリスクがあります。

DIPSによるオンライン許可申請の流れ

DIPS(Drone Information Platform System)は、国土交通省が提供する無人航空機飛行許可・承認申請のためのオンラインシステムです。以下の手順で申請を行います。

  1. アカウント登録とログイン
    • DIPSウェブサイトにアクセスし、メールアドレス・パスワード等を登録してアカウントを作成する。本人確認書類(運転免許証など)のアップロードが必要。
  2. 機体情報の登録
    • 測量に使用するドローンの機種名、機体番号、搭載センサー(カメラ/LiDARなど)、重量、最大離陸重量を入力する。RTKモジュール有無や抗干渉性能も記載する。
  3. 操縦者情報と安全対策マニュアルの準備
    • 操縦者の氏名・ライセンス番号(無人航空機操縦技能証明等)などを入力。
    • 安全対策マニュアル(飛行前点検リスト、緊急時対応手順、電波障害時の代替手順など)をPDFでアップロードする。
  4. 飛行計画(飛行経路図)の作成と添付
    • Google Earthなどで撮影エリアの範囲をKML形式でエクスポートし、飛行高度(例:80m)、飛行ルート、離陸着陸地点を明確に示した飛行経路図を作成する。
    • 飛行経路図には、GCPの設置位置や基地局設置場所も明示し、安全に飛行できるルートであることを証明する。
  5. リスクアセスメントの記入
    • 飛行予定場所のリスク(電線、鳥類、第三者の立ち入り、不測事態時の避難経路など)を抽出し、リスク軽減策(安全な飛行高度、目視監視者の配置など)を詳細に記入する。
  6. 申請内容の確認と送信
    • 全項目をチェックし、不備がないことを確認して申請を送信。送信後に申請番号が発行されるので控えておく。
  7. 審査・補足依頼対応
    • 国土交通省による審査中に、書類の不備や追加説明が必要な場合はDIPS上で連絡がくる。迅速に対応し、再提出することで承認までの期間を短縮できる。
  8. 許可・承認の通知受領
    • 通常10~15営業日程度で許可がおりる。承認書類(PDF)はDIPSからダウンロード可能となるため、コピーを現場に持参し、飛行当日に目視しやすい場所に掲示する。

許可後に留意すべき安全対策

許可を得た後も、安全にドローン測量を実施するためには以下の注意点を徹底してください。

  • 目視監視者の配置
    • 目視外飛行や障害物が多い現場では、操縦者以外に最低1名以上の目視監視者を配置し、常に機体の動きを監視。目視監視者同士の連携ルール(無線機のチャンネル・コールサインなど)も事前に決めておく。
  • 飛行禁止時間帯の遵守
    • 夜間飛行の許可が下りていない場合、日の入りから日の出までの時間帯は飛行を行わない。仮に夜間飛行の許可を得ていても、周辺住民への配慮や照明環境のチェックが必須。
  • 飛行前点検の徹底
    • 機体キャリブレーション(IMU・コンパスキャリブレーション)、プロペラやモーターの点検、バッテリー残量と温度の確認、カメラレンズ清掃、SDカードの空き容量チェックなど、現場到着後に必ずチェックリストを用いて確認する。
  • 飛行エリアの周辺状況把握
    • 飛行当日に周辺に工事車両や重機が入場していないか、近隣住民が作業エリアに立ち入っていないかを再度確認。突発的な人や動物の侵入に備え、緊急停止手順を全員で共有しておく。
  • 気象情報のリアルタイムモニタリング
    • 天気予報アプリや現地の雨量観測情報を常にチェックし、予定していた飛行が急遽中止・延期となる可能性を関係者に事前共有する。
  • 飛行ログおよび写真・点群データの保管
    • すべての飛行ログや撮影データはクラウドストレージや社内サーバーにアップロードし、解析結果と合わせてバックアップを取っておく。万一トラブルが発生した場合の原因調査・再飛行計画に役立つ。

以上を守ることで、法令順守と安全運用を両立しつつ、高品質なドローン測量データを安定的に取得できます。「適法かつ安全なドローン測量」を念頭に置いて、現場計画を立ててください。

よくある質問

ドローン測量士の年収は?

ドローン測量を専門とする技術者(オペレータ・解析担当者含む)の年収は、経験・所属企業規模・地域・業務範囲によって幅がありますが、以下が一般的な目安です。

  • 初級レベル(経験1~3年程度):年間約300万~450万円程度。主に撮影オペレータ業務、データ取り込み・簡易解析、GCP設置補助などを担当。小規模案件中心の場合。
  • 中堅レベル(経験3~7年程度):年間約450万~600万円程度。撮影計画立案、RTK/PPK運用、解析ソフトによる3Dモデル・DEM出力、精度管理・報告書作成まで一貫して担い、クライアント提案や現場責任者を兼務するケース。
  • 上級レベル・リーダークラス(経験7年以上、マネジメント含む):年間約600万~800万円以上。大規模プロジェクトの推進、複数現場管理、チーム育成、ROI提案、法規制対応策の策定、最新技術導入や外部連携を主導。コンサルティング業務を請け負う場合や、自社サービス開発を行う場合はさらに上積みも。
  • フリーランス・個人事業主:案件単位で報酬を得る場合、撮影1日あたり5万~15万円程度、解析やレポート作成を含めたパッケージ案件で数十万~100万円超となるケースも。受注量次第で年収変動が大きい。自身で営業・機材投資・保険管理を行う必要がある。
  • 地域・業界による差:都市部や需要が高い地域では単価が上がりやすく、大手建設会社や官公庁案件を受託する場合は報酬が高めに設定される傾向。逆に地方小規模案件中心では報酬水準が低めとなる場合もある。
  • 付加価値業務:AI解析モデル開発、クラウドプラットフォーム連携、BIM/CIM統合など高度なスキルやサービスを提供できる場合、企業内で高待遇やフリーランスでも高単価案件を得やすい。
  • 昇給・キャリアパス:社内でドローン測量部門リーダーや新規事業開発担当、技術コンサルタントに昇格すると年収が上がる。公的資格取得(測量士補や測量士など)と組み合わせたポジションも有利。
    以上を踏まえ、自社採用やフリーランス参入を検討する場合は、現地相場調査や複数企業事例の確認、年間稼働可能日数や付加価値サービスの提供計画をもとに収支モデルを作成することが望ましいです。

ドローン測量に必要な資格は?

ドローン測量を業務として行う際に必要・有利となる資格や知識、また法的に義務付けられる要件は以下の通りです。

  • 操縦者技能証明(ドローン免許):特に商業利用や特定飛行(夜間、目視外、30m未満飛行など)が発生する測量業務では、小型無人機操縦者技能証明(1等~3等)が必要または有利。技能証明を取得しておくことで、許可申請時の審査通過がスムーズになり、安全対策面でも評価されやすい。
  • 機体登録:100g以上の機体を使用する場合、国交省DIPSでの機体登録・リモートID対応が法的に必須。登録手続きはオンラインで実施。複数機を運用する場合、管理台帳で所在把握とログ管理が重要。
  • 測量士補・測量士資格:測量会社所属や官公庁案件の場合、測量士補や測量士の資格保有が求められるケースが多い。ドローン測量で得たデータを最終成果物として提出するには、これら資格保有者による監修や最終チェックが必要となる場合がある。
  • 安全運航管理者(ドローン安全管理):社内でドローン運用ルールを整備・周知する立場では、安全運航管理者や無人航空機整備士資格(国交省認定)などがあると信頼性向上に寄与。大型プロジェクトや官公庁との契約時に求められる場合もある。
  • その他関連知識・研修
    • 気象知識:気象予報の読み方、風影響や日射影響を理解する研修。
    • GIS/CAD操作スキル:解析成果物をGIS(QGIS/ArcGIS)やCADソフトで活用・編集できる能力。
    • 解析ソフト操作スキル:Pix4D、Metashapeなど主要フォトグラメトリソフトや点群処理ソフトの習熟。
    • IT/ネットワーク知識:RTKリアルタイムリンク用通信設定、クラウドプラットフォーム利用時のセキュリティ管理。
    • 法規制・許可申請知識:DIPS申請手続き、地方条例対応、リスクアセスメント策定能力。
  • 講習・研修受講:操縦技能講習だけでなく、フォトグラメトリや解析技術を学ぶ専門セミナーやオンライン講座を受けることで、実務能力を高めやすい。
  • 企業内での研修制度整備:測量会社や建設会社が自社オペレータ育成プログラムを設ける場合、社内研修や外部講師招聘による教育が有効。
    結論として、法的に必須なのは機体登録と、業務内容に応じた操縦者技能証明、測量士補などの測量資格が挙げられます。さらに、安全管理や解析スキルに関する知識・資格や研修を組み合わせることで、信頼性と業務品質を高め、クライアントや官公庁への提案力を強化できます。

ドローン測量の費用はいくらくらいかかる?

ドローン測量にかかる費用は、導入段階・現場実行段階・解析納品段階に分かれ、案件規模や精度要件、機材保有有無、外注か自社運用かで大きく変動します。以下に主なコスト項目と目安を示します。

  • 初期導入コスト
    • 機体・センサー購入費:マルチローターRTK対応機体は約150~300万円、固定翼機は300~800万円、LiDAR搭載は800万円~数千万円。マルチスペクトルカメラは50~200万円。
    • 周辺機器:RTK基地局受信機100~200万円、バッテリー複数本で数十万~100万円、充電ステーション・ポータブル電源合わせて数十万。高性能PC・ストレージで50~150万円程度。
    • ソフトウェアライセンス:Pix4Dmapper等は年間50~100万円、Metashapeは買い切り100~200万円または年間更新。クラウド解析は月額数万円。
    • 安全管理・保険:賠償保険やメンテナンス保険、万一の損害に備え年間数十万~100万円程度。
    • 人材育成・研修費用:操縦技能講習、解析研修、法規制・安全管理研修などで数十万。
  • 案件実行コスト(1案件あたり)
    • 現場作業費:撮影オペレータ・監視者人件費、交通・宿泊費、GCP設置用資材・人件費を含め、数十ha程度の現場で自社運用なら30~50万円程度が目安。外注委託の場合は撮影・解析込みで50~100万円程度。
    • 追加飛行・再測量費用:低品質データや天候不良による再飛行が必要な場合、1日あたり数十万円の追加。
    • 解析費用:自社解析なら人件費のみ、外部依頼の場合は解析パッケージで数十万。大規模案件や特殊解析(LiDAR融合、AI解析含む)はさらに増加。
  • ランニングコスト
    • バッテリー交換・消耗品:プロペラ、モーター、ESC交換など年間数十万。バッテリーは300~500サイクルで交換、数十万~。
    • ソフトウェア更新・サブスクリプション:年間ライセンス更新費用50~100万円、クラウド解析利用料。
    • 保守・保険料:機材メンテナンス費用や保険更新料。
    • 通信費:RTK運用時のデータ通信、クラウドアップロード帯域使用料。
  • 外注利用時の相場
    • 撮影+解析パッケージ:小~中規模現場(10~50ha)なら50~100万円程度、大規模(50ha以上)は案件内容に応じて100~200万円超。LiDARや高精度要件、AI解析など付加価値サービスがある場合はさらに増加。
    • 部分外注:撮影のみ依頼(自社解析)で30~50万円、解析のみ依頼で20~40万円程度。
  • コスト低減策
    • 複数案件まとめ発注/社内運用拡大:自社運用体制を整え、複数プロジェクトで使い回すことで1案件あたりコストを下げる。
    • レンタル機材活用:機材投資負担を抑えるため、必要時にレンタル会社から機体やGNSS機材を借りる。
    • 外注と内製のバランス:初期導入時は外注でノウハウを蓄積し、その後内製化を進める。解析クラウドサービスの試用プランを活用し、ソフト購入前に検証する。
  • ROI試算:導入コストに対し、従来測量コスト節減額やスピード短縮効果、リスク回避効果を加味し、投資回収期間を算出。複数年・複数案件を前提に試算することで判断材料とする。
    以上のように、ドローン測量の費用は数十万~数百万円単位で変動します。自社運用か外注か、投資回収計画、案件頻度・規模を踏まえた予算計画を策定することが重要です。

ドローン測量におすすめの大手メーカーは?

ドローン測量向け機体・システムを提供するメーカーは複数ありますが、信頼性・サポート体制・拡張性を重視して選ぶことが望ましいです。以下、代表的なメーカーと特徴を紹介します。

  • DJI
    • ラインナップ:Phantom 4 RTK、Mavic 3 Enterpriseシリーズ、Matriceシリーズ(Matrice 300 RTKなど)など、測量向けRTK機能内蔵機体が豊富。ジンバル安定性やカメラ性能が高く、操作性・ソフト連携(DJI Terra、DJI Pilotアプリなど)も充実。
    • メリット:国内シェアが高く、サポート拠点・サービス拠点が多数あるため、故障時の修理対応やファームウェア更新情報が迅速。アクセサリや周辺機器、SDK連携も豊富で、カスタマイズ・開発用途にも対応しやすい。
    • 留意点:独自規格の制約がある場合があり、他社製GNSSやLiDARとの連携には調整が必要なことも。
  • Autel Robotics
    • ラインナップ:EVO IIシリーズなど、RTK機能搭載モデルも増加。カメラ解像度が高く、バッテリー性能も良好。
    • メリット:DJI以外の選択肢として、干渉や制約分散に寄与。グローバル展開が進む中で国内サポート拠点の整備状況を確認。SDK対応やサードパーティセンサー連携状況を確認して導入判断する。
    • 留意点:DJIほどの国内サポート網はまだ整備途上の場合があるため、故障時対応や部品調達ルートを事前に確認。
  • senseFly (Parrotグループ)
    • ラインナップ:固定翼測量機eBeeシリーズ。広範囲測量に向く固定翼ソリューションを提供。自動飛行時間が長く、大規模農地やインフラ調査に適合。
    • メリット:使いやすい固定翼プラットフォーム、専用解析ソフトとの連携、安定した飛行性能。海外での実績多数。
    • 留意点:滑走離陸型の場合、離陸スペース要件がある。VTOLモデルは価格・整備負担を考慮。国内サポート状況や部品調達を確認。
  • Wingtra
    • ラインナップ:VTOL固定翼機 WingtraOne。垂直離着陸+固定翼巡航で広範囲測量に適する。高解像度カメラ搭載オプションあり。
    • メリット:狭小地での離着陸と広域飛行を両立。高精度GNSS連携や大容量バッテリーで効率的な測量が可能。
    • 留意点:機体コストが高めで、整備スキル要件が増す。サポート体制・部品調達ルートを確認。
  • Trimble
    • ラインナップ:測量・建設向けソリューションとして、DJI機体をベースにしつつTrimbleのGNSS機器や解析プラットフォームと連携するパッケージを提供。高精度測量ワークフローを統合。
    • メリット:測量会社や建設会社で既存Trimble環境を持つ場合、統合メリットが大きい。サポート・保守体制が確立。
    • 留意点:システム導入コストが高くなる可能性があるため、既存投資との兼ね合いで判断。
  • その他LiDAR搭載機器ベンダー
    • RIEGL, Velodyne, Livox など:高性能LiDARセンサーを提供。ドローンプラットフォームへの統合は専門的知識を要するが、樹林下地形取得や構造物検査に有効。統合済みソリューションを提供する企業もあるため、自社要件に合ったパートナー選定が重要。
  • ソフトウェア・プラットフォーム提供企業
    • Pix4D, Agisoft, DroneDeploy, ContextCapture(Bentley)など:解析ソフトやクラウドサービスを選ぶ際、機体との互換性、サポート体制、機能要件(RTK/PPK対応、AI解析機能、自動レポート機能など)を比較検討。
  • 選定時のチェックポイント
    1. サポート体制:国内修理拠点、技術サポート窓口、ファームウェア更新頻度・安定性、部品調達ルートを確認。
    2. 拡張性:GNSS/RTKユニット、LiDARやマルチスペクトルなど将来のセンサー拡張に対応できるプラットフォームか。SDK/API連携やカスタム開発のしやすさ。
    3. 運用環境適合性:耐風性能、バッテリー持続時間、携行性など自社現場の条件に合致するか。固定翼機の場合は離着陸スペース要件の許容可否。
    4. コストパフォーマンス:機体・周辺機器・解析ソフトライセンス・保守・消耗品コストを総合的に比較。
    5. 実績・事例:同業界や類似案件での導入実績を調査し、成功事例や課題をヒアリング。
    6. トレーニング・教育支援:ベンダー提供の導入研修やオンラインサポート、コミュニティの有無を確認し、スムーズな立ち上げを図る。
      これらを踏まえ、自社の用途・規模・予算・既存環境を考慮して最適なメーカー・機体・ソリューションを選定してください。

ドローン測量の精度を上げるには?

精度向上は複数要素の最適化結果となるため、ハード・ソフト・運用面を総合的に改善するアプローチが必要です。以下のポイントを組み合わせて取り組みましょう。

  • GCPとRTK/PPK運用
    • GCP配置最適化:十分な数(平坦地で最低4点、起伏地で6~8点以上)を設置し、現場全体を均等にカバー。高視認性マーカーを用い、正確な座標取得と撮影画像への明瞭な写り込みを確認。
    • RTK/PPK活用:RTKでリアルタイム高精度ジオタグを付与、通信不安定時はPPKで後処理補正。基地局ログの時間同期を厳密に行い、後処理ソフトで最適設定を選択。
  • 撮影計画と光条件管理
    • 重複率設定:前後80~85%、左右60~70%を基準に、林間部・影強部では重複をさらに増やす。撮影速度や高度設定と合わせて最適化。
    • 地形フォロー:地形起伏が大きい現場で一定地上高を維持し、重複率やピントブレを防ぐ。
    • 光条件:薄曇りや午前中の均一光を狙い、強い影や白飛びを避ける。反射面(砂地、水面など)の撮影は角度・時間帯を調整し、マットや偏光フィルターの併用を検討。
  • 機材選定・キャリブレーション
    • 高解像度・低歪カメラ:歪み補正が容易なレンズを搭載。ジンバル安定性が高い機体を選ぶ。
    • GNSSモジュール:マルチバンド対応かつ高感度のものを選び、アンテナ配置に注意。IMUキャリブレーションを定期実施し、コンパスエラーを防止。
    • ジンバル・カメラキャリブレーション:撮影前にジンバルキャリブレーションを行い、傾きやブレを防ぐ。カメラ設定(ISO・シャッタースピード・ホワイトバランスなど)は標準プリセットに戻しておく。
  • 後処理ソフト設定最適化
    • SfMパラメータ調整:高品質処理を選ぶか、処理時間とのバランスで中品質設定を行い、再投影誤差やGCP誤差レポートを細かくチェック。問題画像の除外や手動マッチング補助設定を活用。
    • チェックポイント(CP)活用:独立CPを設け、成果物精度を客観評価。CP誤差が要件範囲外の場合は再処理や追加GCP投入を行う。
  • 環境リスク管理
    • 気象管理:風速・雲量・気温をリアルタイムで観測し、適切な撮影タイミングを選定。予備日設定で不安定天候リスクを低減。
    • 障害物回避:障害物検知機能や地形認識機能を活用し、安全に飛行経路を設定。異常時には即時ホバリング・着陸。
  • 運用フローと教育
    • チェックリスト徹底:撮影前後のチェックリストで設定ミスや異常を早期発見。GCP設置手順や撮影計画の現地再確認を習慣化。
    • ログ管理:飛行ログ・バッテリーログ・環境データを記録し、傾向分析で問題箇所を特定。定期キャリブレーションや機材交換時期を適切に判断。
    • チーム教育:撮影オペレータや解析担当者のスキル向上研修、過去事例共有。新技術や手法が登場した際の情報共有と運用マニュアル更新を行う。
  • 技術トレンド活用
    • AI自動解析支援:異常領域の自動検出や最適撮影ルート提案機能を持つツールを導入し、人的ミス低減と精度向上を支援。
    • リアルタイムモニタリング:5G/エッジ解析などで撮影中に品質チェックを行い、不足箇所が即検知できる環境を整備。
      上記を統合的に実践することで、ドローン測量成果物の精度を確実に向上させることができます。

許可申請にかかる期間は?

飛行許可・承認申請(特定飛行条件下を含む)について、DIPSを用いた標準的な審査期間や関連要素をまとめます。

事前準備のポイント:申請スケジュール逆算で作業開始日を設定し、自治体同意取得やGCP設置計画、チーム教育・マニュアル整備を並行して進める。過去許可実績や安全対策体制が整備済みの場合は審査がスムーズに進むため、常日頃からドキュメントやログを整えておくことが望ましい。
これらを踏まえ、許可申請期間をスケジュールに組み込み、余裕をもって準備・申請を行うことで、想定外の遅延を防ぎ、安全かつ計画的にドローン測量を実施できます。

標準審査期間:通常、申請受付から許可取得までは約10~15営業日程度が目安です。ただし、包括申請を利用したり、過去の実績が豊富で安全対策体制が整っている場合は審査が短縮されるケースがあります。

DIPS 2.0移行期注意点:2025年3月17~24日の移行期間は申請不可となるため、それを避けるスケジュールで申請を行う必要があります。また、新しい申請書式への対応準備が必要なため、移行後早期に申請する場合は事前チェックが重要です。

必要書類準備期間:飛行経路図作成、安全対策マニュアル整備、GCP設置計画書作成、操縦者経歴書や機体スペックシート準備などは数日~1週間程度かかる場合が多く、早めに情報収集・作成を開始することが望ましい。特に大規模現場や都市部飛行では安全対策記載項目が増えるため、余裕をもって準備。

地方自治体手続き併行:自治体許可や同意取得が必要な場合、自治体ごとの窓口対応期間も見込む。公園管理者や地権者への同意取得に数日~数週間かかる可能性があるため、国交省申請と並行して進める。

追加情報要求対応期間:審査中に追加資料や説明を求められた場合、迅速に対応することで遅延を抑制。担当者をあらかじめアサインし、必要情報を速やかに提出できる体制を整備。

緊急時・包括申請:災害対応時など緊急案件では特例的に審査が早まる場合があります。あらかじめ包括申請制度を活用して日常的に許可を得ておくと、緊急時の飛行がスムーズになります。包括申請は継続的に同種作業を行う事業者向けで、初期準備に時間がかかるものの、その後の許可取得期間は大幅に短縮されるメリットがあります。

準備期間:必要書類・同意取得などに1~2週間程度(大規模案件や複雑な安全対策が伴う場合はさらに余裕を)。

DIPS申請~許可取得:約10~15営業日。追加対応が発生しなければこの期間で完了。

合計として、余裕を見て申請開始から実際飛行許可取得まで約3~4週間を想定するのが安全ですが、チーム体制や準備の早さ、包括申請の有無によって前後します。

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