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DJIとは?世界をリードするドローンメーカーの概要
DJI(ディージェイアイ)は、民間用ドローン市場において圧倒的なシェアを誇る世界的なテクノロジー企業です。特に空撮・映像分野における革新的な製品開発とユーザーフレンドリーな設計で、プロフェッショナルから初心者まで幅広い支持を集めています。このセクションでは、DJIの成り立ちと強み、なぜ今なお業界をリードし続けているのかを詳しく解説します。
DJIの企業概要と設立背景
DJIは2006年に中国・深圳で設立されました。正式名称は「Da-Jiang Innovations Science and Technology Co., Ltd.(大疆创新科技有限公司)」で、「大疆」は中国語で「広大な領域」を意味します。創業者のフランク・ワン(Wang Tao)は、大学時代からドローンの姿勢制御技術に着目しており、その研究成果をもとに創業しました。
設立当初は産業向けの制御装置やフライトコントローラーの開発を主軸としていましたが、2013年に発売された「Phantom」シリーズによって、民生用空撮ドローン市場で一躍有名になります。その後、次々と革新的な製品を市場投入し、2020年代には世界の民間用ドローンの約70〜80%を占めるまでに成長しました。
世界シェアと技術革新の強み
DJIの強みは、ハードウェアとソフトウェアの両面における技術力です。特に以下の点で他社を大きくリードしています:
- 安定した飛行制御システム(フライトコントローラーとIMUの精度)
- 高性能カメラとジンバルの統合設計
- 独自アプリによる優れたユーザー体験(例:DJI Fly)
- 高度な障害物回避と自動飛行プログラム
これにより、誰でも簡単にプロレベルの空撮ができる製品を実現。さらに、コンシューマー向けに留まらず、測量・点検・農業・災害対応といった産業用途にも対応可能なハイエンド機もラインナップしています。
加えて、製品の継続的なアップデートとサポート体制の強化も、ユーザーからの高い信頼を支えています。
DJIが注目される理由とは
DJIが市場で注目され続けている理由は、単なる技術力だけでなく、ユーザー目線に立った「体験価値」の提供にあります。
- 圧倒的なコストパフォーマンス:同価格帯で競合他社よりも性能が高い
- 簡単操作・自動飛行で初心者でも使いやすい
- 映像制作・SNS向けに最適化された編集ツールやシェア機能
- 法規制に対応した安全機能(ジオフェンス、リモートIDなど)
さらに、ドローン業界全体が急速に拡大するなかで、DJIは新製品リリースや産業ソリューション展開にも積極的で、メディアや法人市場からも高く評価されています。
DJIドローンの製品ラインナップ【2025年最新版】
2025年現在、DJIは幅広いニーズに応えるために複数のシリーズを展開しています。初心者向けの小型モデルから、プロフェッショナル仕様、さらに産業用途に特化したハイエンド機まで、豊富なラインナップが揃っています。本セクションでは、各シリーズの特徴や用途をわかりやすく紹介します。
Miniシリーズ:初心者向けコンパクトモデル
Miniシリーズは、軽量・コンパクト・200g前後という特徴を持ち、日本国内の航空法にも配慮した設計が魅力です。代表的なモデルは以下のとおりです:
- DJI Mini 4 Pro(2023年発売):全方向障害物検知やActiveTrack 360°に対応し、初心者でも安全に操作可能。
- DJI Mini 3:コスパ重視のモデルで、シンプルな操作性が特徴。
ほとんどのMiniモデルは249g以下で、機体登録義務のない(2025年現在の制度下では)点もユーザーに支持される理由です。
Airシリーズ:高性能×コストパフォーマンス
Airシリーズは、Miniよりもやや大きく高性能ながら、価格と性能のバランスに優れた中級者向けモデルです。
- DJI Air 3(2023年):広角と中望遠の2眼カメラを搭載し、映像表現の幅が広がります。最大飛行時間46分、全方向障害物検知など、実用性の高い設計です。
Airシリーズは、コンパクトながら撮影品質や飛行性能に妥協がなく、旅行やVlog用途、セミプロの空撮にも対応可能な万能機です。
Mavicシリーズ:プロフェッショナル仕様の空撮機
Mavicシリーズは、本格的な映像制作や業務利用にも対応するフラッグシップモデル群です。
- DJI Mavic 3 Pro:3眼カメラ(広角・中望遠・望遠)を搭載し、10bitログ撮影やハッセルブラッド製レンズで圧倒的な画質を実現。
- Mavic 3 Classic:単眼モデルながらハイエンドの撮影性能を備えた選択肢。
Mavicシリーズは、高品質な空撮映像を必要とする映像クリエイターやドローン事業者から高い信頼を得ています。
Inspire・Avata・FPV:映像制作や特殊用途向けモデル
- DJI Inspire 3(2023年):映画・CM制作レベルの画質と自由度を実現。フルサイズセンサー、8K ProRes RAW撮影対応。
- DJI Avata 2:FPV(First Person View)に対応し、ゴーグルを使った没入感ある操縦が可能。アクション系映像やスピード感ある撮影に適しています。
- DJI FPV:従来の空撮ドローンとは異なり、直感的かつダイナミックな飛行が可能。
これらのモデルは、特殊な撮影スタイルや表現を求めるプロフェッショナルに最適です。
法人向けシリーズ(Matrice/Enterprise)
DJIは法人・産業用分野でも多くの機種を展開しており、業務特化型のドローン群が「Matrice」や「Mavic Enterprise」シリーズです。
- Matrice 30シリーズ:ズーム・広角・サーマルカメラを搭載可能で、災害対応・インフラ点検・警備に活用。
- Mavic 3 Enterpriseシリーズ:レーザー測距やマルチスペクトルセンサーなど、測量・農業・点検用途に対応。
- DJI Dockとの組み合わせで完全自動運用も実現可能。
これらの機体は、公共インフラ、自治体、警察・消防、建設、農業といった多様な業種での活用が進んでいます。
用途別に選ぶ!DJIおすすめモデル早見表
DJIのラインナップは豊富で、ユーザーの使用目的やスキルレベルに応じて最適なモデルが異なります。ここでは「初心者」「空撮クリエイター」「業務用途」「法規制を気にする人」など、よくある目的別におすすめのDJI機体を分類して紹介します。
初心者に最適なドローン
ドローンを初めて購入する方には、操作が簡単で法規制にも配慮された軽量モデルがおすすめです。
- DJI Mini 4 Pro
全方向障害物検知とアクティブトラッキング機能を搭載し、安全性と使いやすさを両立。高性能ながら249gという軽量設計で、日本国内の登録義務にも一部該当しない点が魅力です。 - DJI Mini 2 SE
価格重視のエントリーモデルで、基本的な撮影・飛行機能を学ぶには十分。初めての空撮体験に最適です。
空撮・映像制作向けの高画質モデル
プロや映像クリエイター、SNSコンテンツ制作者には、カメラ性能と画質に優れたモデルがおすすめです。
- DJI Air 3
デュアルカメラ搭載で、広角と中望遠の2種類の視点を使い分け可能。10bit D-Log M対応で色編集にも強く、飛行性能も高いバランスモデル。 - DJI Mavic 3 Pro
3眼カメラ搭載で表現力が非常に高く、8Kに近い画質と広いダイナミックレンジでプロの映像制作に対応。YouTube、CM、映画制作に最適。
法人・業務用におすすめの機種
測量・点検・警備・農業など、業務目的でドローンを活用する場合は、耐久性・センサー性能・アプリ連携の充実度が重要になります。
- DJI Mavic 3 Enterprise
軽量コンパクトながら測距レーザーやスピーカーを搭載可能。測量や捜索・警備業務に実績あり。 - DJI Matrice 30T
耐風性・全天候対応でサーマルカメラやズームカメラ搭載。災害現場や大規模施設の点検などに強みを発揮。
重量規制をクリアする200g未満モデル
日本では、200g以上のドローンは航空法の適用対象となります(※2025年現在の一部条件を除く)。できるだけ法的手続きを省略したい方には、200g未満のモデルが有効です。
- DJI Mini 2 SE(約246g)
登録義務はあるが、200g未満に近いため飛行制限の影響が少ない。手軽な屋外飛行に向いています。 - 旧型モデル(DJI Telloなど)
200g未満の屋内専用・遊び用ドローン。撮影性能は限られるが、教育や操作練習に適しています。
※2025年時点で「完全な200g未満」は選択肢が限られており、今後の制度改正にも注意が必要です。
DJI製品の選び方ガイド
DJIは多彩なドローンを展開しており、どれを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。このセクションでは、価格や性能、用途、さらには法規制との関係まで踏まえた「後悔しない選び方」のポイントを体系的に解説します。
価格帯とスペック比較のポイント
まず検討すべきは「予算」と「用途のバランス」です。DJIのドローンは約5万円〜50万円以上と価格帯が幅広く、それに応じて性能も大きく異なります。
価格帯 | 主なモデル | 特徴 |
---|---|---|
~6万円 | Mini 2 SEなど | 初心者・遊び用・簡易撮影 |
8〜15万円 | Mini 4 Pro / Air 3 | 趣味の空撮・Vlog・高画質SNS投稿 |
20万円以上 | Mavic 3シリーズ / Inspire | 映像制作・業務利用向けの高機能モデル |
予算が限られている場合は、基本性能がしっかりしていて長く使える「中価格帯モデル」がコスパ面でおすすめです。
カメラ性能・飛行時間・操作性で選ぶ
カメラ性能と飛行時間は、撮影のクオリティと実用性に直結する重要な要素です。
- カメラ解像度・センサーサイズ
4K以上の映像撮影が主流ですが、より高品質な映像を求めるなら1インチ以上のセンサー搭載モデル(例:Mavic 3 Pro)が有利です。 - 飛行時間
平均20〜46分。長時間の空撮や業務利用では30分以上飛べるモデルが理想です。 - 操作性・自動機能
初心者には全方向障害物検知や自動帰還機能がある機種(例:Mini 4 Pro)がおすすめです。上級者にはマニュアルモードやFPV機能も選択肢になります。
法規制との関係(200g・登録制度・リモートID)
日本では2022年以降、ドローンに対する法規制が厳格化されており、機体選びにも直接影響します。
- 200g未満:航空法の適用対象外だが、現在はほとんどのDJI機体が超過している。
- 登録義務(リモートID):基本的に100g以上の機体は登録が必要。リモートID機能の有無も確認を。
- その他規制:飛行場所(DID地区)、目視外飛行、夜間飛行などは別途許可・申請が必要。
購入前に、選ぶ機種がどの法規制に該当するかを必ず確認しておきましょう。
自分に合ったシリーズの選定方法
DJI製品はシリーズごとに特性がはっきりしているため、自分の使用目的に合った「シリーズ選び」が最重要です。
- Miniシリーズ:旅行・日常の記録に最適。軽量・コンパクト・簡単操作。
- Airシリーズ:趣味と仕事の中間。画質・性能・価格のバランスが優秀。
- Mavicシリーズ:プロ仕様の映像制作やビジネスユースに。
- FPV / Avata:スピード感ある撮影や没入型体験を重視する人向け。
- Matrice / Enterpriseシリーズ:測量・点検・警備・災害対応など産業用途に。
目的に応じた「シリーズ選定」→「スペック・価格比較」→「法規制チェック」の流れで選べば、ミスマッチのない機体選びが可能になります。
DJI Flyなどアプリ・ソフトウェアの使い方と注意点
DJIのドローンを最大限に活用するには、専用アプリやソフトウェアの理解が不可欠です。特に「DJI Fly」アプリは、飛行操作から撮影設定、データ管理まで多機能を担っており、ユーザー体験の中心的役割を果たします。このセクションでは、DJI Flyおよび関連ソフトウェアの機能と活用法、トラブル対処について解説します。
DJI Flyアプリの基本機能と操作ガイド
DJI Flyは、現在のDJIドローンにおいて最も広く使用されている公式アプリで、以下のような機能を備えています。
- ライブビュー表示:ドローンのカメラ映像をスマートフォンでリアルタイムに確認可能。
- 撮影設定変更:解像度やFPS、露出、ホワイトバランスなどを直感的に操作。
- インテリジェントフライトモード:QuickShot、ActiveTrack、MasterShotsなどの自動撮影機能。
- フライト記録・ログ管理:飛行履歴や機体ステータスを記録。
- ファームウェア更新通知:機体やバッテリーのアップデートを一括管理。
初心者でもわかりやすいUI設計が特徴で、アプリを通じて安全かつ効率的なフライトが実現します。
DJI Fly対応機種とセットアップ方法
DJI Flyに対応している代表的な機種は以下のとおりです:
- DJI Mini 2 / Mini 3 / Mini 4 Pro
- DJI Air 2 / Air 2S / Air 3
- DJI Mavic 3 / Mavic 3 Pro / Mavic 3 Classic
- DJI Avataシリーズ
セットアップの流れ:
- DJI公式サイトから最新バージョンをダウンロード(AndroidはAPK形式、iOSはApp Store)
- アカウント作成・ログイン
- ドローンとスマホを接続し、機体の認証と初期設定
- チュートリアルまたは安全確認後、フライト可能に
対応外の古いモデル(Phantom、Inspire初期型など)は「DJI GO 4」アプリが必要です。
DJI Assistant 2の使いどころと注意点
DJI Assistant 2は、PCにインストールして使用する公式ユーティリティソフトで、以下の場面で活用されます。
- 機体・送信機のファームウェア更新
- センサーキャリブレーション(IMU、コンパス)
- 飛行ログのエクスポート・解析
- エラーログの確認とトラブルシューティング
特に業務用途や精度の求められるフライト前後には、DJI Assistant 2による事前確認が推奨されます。ただし、バージョンが複数あり(Mavic用・Enterprise用・FPV用など)、自分の機体に合ったソフトを選ぶ必要があります。
アプリの不具合・トラブル対策Q&A
DJIアプリは便利ですが、スマホのOSアップデートや機体との相性などで不具合が発生することもあります。よくあるトラブルと対処法は以下のとおりです:
- アプリが起動しない/フリーズする
→ DJI公式サイトから最新バージョンを再インストール。OSの互換性も要確認。 - 接続できない/ライブビューが映らない
→ ケーブル接続の再確認、送信機や機体の電源リセット、DJI Assistant 2でファーム更新を実施。 - 飛行モードが制限される/警告が出る
→ センサーキャリブレーション未完了、リモートID未登録、またはジオフェンスによる飛行制限区域の可能性。 - 動画が保存されない/SDカードが認識されない
→ SDカードのフォーマット形式や容量上限に注意(UHS-I/U3、最大256GB推奨)。
これらを踏まえ、購入時には対応スマホの確認や、公式サポートフォーラムの活用も有効です。
DJI製品の購入ガイドとおすすめ販売店
DJI製品は国内外で広く流通していますが、信頼できる販売ルートから購入することがトラブル回避のカギです。本セクションでは、公式ストア・正規代理店・ECサイトなど購入先の特徴とメリット・注意点を解説します。さらに、セールやキャンペーン情報、偽物回避のコツも紹介します。
DJI公式ストアと正規代理店の違い
- DJI公式ストア(DJI JAPAN)
最新製品をいち早く購入可能。製品登録や保証もスムーズで、日本語対応のカスタマーサポートがある点が安心。Web限定クーポンやアクセサリー割引などの特典もあり。 - 正規代理店(例:セキド、SkyLink Japan、ドローンステーションなど)
店舗での購入・試用が可能な場合もあり、実機を見てから選べる。法人向けサポートや導入相談も受けやすい。製品サポートも日本国内基準で受けられる。
正規代理店はDJI公式に認定された業者のため、並行輸入品や中古品を避けたい場合はこの2つが安心です。
Amazon・楽天・量販店の価格比較
大手ECモールや家電量販店でもDJI製品は取り扱われていますが、出品者や在庫状況によりサービスレベルに差があります。
- Amazon:プライム配送・タイムセールなど価格競争力がある反面、並行輸入品や中古品の混在に注意。DJI公式ストア(認証出品)も存在する。
- 楽天市場:ポイント還元を活用すれば実質価格を抑えられるが、発送や保証の体制は店舗ごとに異なる。
- ヨドバシ・ビックカメラ等:在庫があれば即日持ち帰り可。延長保証やポイント還元も魅力。
購入前には「出品者の確認」「保証対応の有無」「国内仕様かどうか」のチェックが重要です。
セール・クーポン・キャンペーン情報
DJI製品は定価販売が多い印象ですが、以下のタイミングでのセールを狙うとお得に購入できます。
- DJI公式ストアの年次セール(Black Friday, 11.11, 新春セール)
- Amazonプライムデーや楽天スーパーセール
- 正規代理店による展示会・体験会キャンペーン
- 旧モデル在庫一掃セール(Mini 2など)
また、DJI公式ストアやメール会員登録で割引クーポンが配布されることもあります。比較サイトや価格アラートを活用するのもおすすめです。
偽物・並行輸入品に注意するポイント
DJIの人気を逆手に取った偽物や非正規品のトラブルも存在します。以下の点に注意しましょう:
- 価格が極端に安い販売ページには警戒
相場より1〜2万円以上安い場合、非正規品・中古・欠品の可能性が高いです。 - シリアル番号が削られている/保証が受けられない
並行輸入品はDJI JAPANの保証対象外になるケースがあります。 - 箱・内容物が欠品または海外仕様
特にACアダプターの電圧やプラグ形状が異なることがあり、国内使用に不向き。 - 購入前に販売元レビューや運営会社をチェック
個人出品・無名業者の利用は避け、DJI認証マークや会社情報の記載を確認しましょう。
法人・産業用途で活用されるDJIドローン
近年、DJIはコンシューマー市場だけでなく、建設・測量・警備・農業・災害対応などの産業分野でも活用されるドローンを次々と展開しています。特に「Matriceシリーズ」や「Enterpriseシリーズ」は、業務効率化や安全性の向上に貢献し、多くの企業・自治体に導入されています。ここでは、主要な産業別の活用例やDJIが提供するソリューションについて解説します。
建設・測量業界での活用事例
建設現場やインフラ整備において、ドローン測量や進捗記録が定着しつつあります。
- 活用例:
- 土量計算や3Dモデル作成(写真測量、SfM)
- 工事進捗の定点観測・共有
- 橋梁やトンネルの目視点検代替
- おすすめ機種:
- Mavic 3 Enterprise:高精度RTK対応、軽量で携帯性に優れ、現場で即時運用可能。
- Matrice 300 RTK+Zenmuse P1/L1:フルサイズセンサーやLiDARで高精度な測量に対応。
飛行ログの管理やクラウド連携が可能なDJI TerraやFlightHub 2との併用で、ワークフロー全体を効率化できます。
インフラ点検・災害対応における利活用
橋梁・鉄塔・ダム・太陽光パネルなどの保守点検業務では、従来の高所作業をドローンに置き換えることで、安全性とコスト効率を大幅に向上できます。
- 特徴的な活用:
- ズームカメラによる高所撮影(10倍〜200倍)
- サーマルカメラでの異常発熱検出
- 被災地の広域把握・人命救助支援
- 推奨モデル:
- Matrice 30T:望遠・広角・赤外線・レーザー距離計を1台に統合。防塵防滴性能(IP55)で過酷環境に強い。
- Mavic 3 Thermal:持ち運びやすく、簡易点検や自治体向け導入に最適。
AIによる異常検出や定期飛行ルートの自動化など、将来的な自動点検への発展も見据えた活用が進んでいます。
農業用ドローン(DJI Agras)の特徴
農業分野では、DJIの「Agrasシリーズ」が農薬散布や施肥作業の自動化を推進しています。
- 代表モデル:
- DJI Agras T30 / T20P:液剤・粒剤の散布に対応。1ヘクタールあたり数分で作業可能。
- Agras T10:中小規模農家向けの軽量型。
- 主なメリット:
- 重労働の軽減と人手不足対策
- 均一で精密な散布
- 作物へのダメージや無駄な薬剤使用の抑制
専用アプリ「DJI Agriculture」や飛行管理ソフトにより、地図作成・飛行ルート自動生成・作業ログの記録も可能です。
DJI Dock・FlightHubによる自動運用とは
DJIは完全無人・自動運用を見据えた次世代ソリューションとして「DJI Dock(ドック)」を開発しています。
- DJI Dockとは?
ドローンが自動で離着陸・充電・待機を行う「遠隔無人ドローンステーション」。最大7km先から遠隔操作可能。 - 活用場面:
- 工場・港湾・空港での定時巡回
- セキュリティ監視・警備業務
- 災害発生時の即応・状況把握
- 管理ソフト:FlightHub 2
クラウドベースで複数機体の運行管理、映像共有、遠隔操縦が可能。地図情報との統合も進んでおり、完全自律運用の基盤として注目されています。
このように、DJIの産業用ドローンは単なる機体販売にとどまらず、業務フロー全体のDX(デジタル変革)を支援するプラットフォームへと進化しています。
DJIに関する最新動向と世界的な規制状況
DJIは民間ドローン市場で圧倒的な地位を築く一方で、地政学的リスクや国家間の安全保障問題にも直面しています。特にアメリカやEU諸国での規制動向は、今後のドローン業界全体に大きな影響を与える可能性があります。本セクションでは、DJIの最新製品動向、国際規制、そして市場への影響を解説します。
DJI製品が禁止されている国は?
一部の国では、安全保障上の懸念や政府調達基準の観点から、DJI製品の使用制限または禁止措置が取られています。
- アメリカ:政府機関での使用を制限。2020年以降、米内務省ではDJI製ドローンの運用を停止。
- インド:2020年以降、中国製アプリ・製品に対して包括的な規制を実施。公的機関による使用が制限対象に。
- その他の事例:カナダ、オーストラリアなど一部国でも政府系機関での使用制限事例あり。
ただし、一般市民や商業事業者による民間利用は原則自由であり、多くの国でシェアは依然としてトップです。
米国の制裁リストと影響
2020年以降、米商務省はDJIを「エンティティリスト(輸出管理規制対象企業)」に指定しました。この指定により:
- アメリカ企業との一部技術取引が制限
- 政府調達からの除外
- 米系投資ファンドの資金引き上げ圧力
ただし、現時点ではコンシューマー向け販売は合法であり、AmazonやB&Hなどの大手ECでも通常通り購入可能です。消費者レベルでの影響は軽微にとどまっています。
DJIの新製品発表・技術革新のニュース
規制の影響を受けつつも、DJIは新技術の投入を止めていません。2024年〜2025年にかけて登場した注目モデル:
- DJI Air 3(2023年):初のデュアルカメラ搭載で大ヒット。広角+望遠の自由な構図が可能。
- DJI Mini 4 Pro(2023年):Miniシリーズ初の全方向障害物検知とアクティブトラック360°を搭載。
- DJI Inspire 3(2023年):8K ProRes RAW対応、映画制作に特化したフラッグシップ。
- DJI Avata 2(2024年):より滑らかな映像と強化されたゴーグルでFPV体験を進化。
さらに、産業分野ではDJI DockやFlightHub 2など「完全無人運用」に向けた基盤整備も進んでおり、技術革新はむしろ加速傾向にあります。
ドローン業界全体に与える影響とは
DJIが受ける規制は、他社製ドローンの需要増加や国産ドローン開発の加速を促進しています。
- アメリカではSkydioやAutel、Parrotといった競合の存在感が増加。
- 日本国内でも、ACSL、PRODRONEなどの国産機開発が活発化。
- 一方で、DJI製品の性能・価格・流通網の強さは依然として突出しており、すぐにシェアが崩れる兆しは限定的です。
また、規制強化が業界全体の信頼性向上やセキュリティ対策の底上げにつながる側面もあり、中長期的には健全な市場形成に貢献する可能性もあります。
よくある質問(FAQ)
DJIに関しては、製品の仕様だけでなく、法規制・サポート体制・他社との比較など、さまざまな疑問を持つユーザーが多くいます。ここでは、よくある質問をQ&A形式でまとめ、疑問を一つひとつクリアにしていきます。
DJIはどこの国の企業ですか?
DJIは**中国・深圳(シンセン)**に本社を構えるテクノロジー企業で、正式名称は「Da-Jiang Innovations Science and Technology Co., Ltd.(大疆创新科技有限公司)」です。2006年に創業され、現在では世界で最もシェアを持つ民間ドローンメーカーとなっています。
DJIドローンは日本で合法的に使えますか?
はい、DJIドローンは日本国内で合法的に使用可能です。ただし、以下の法律・制度に留意する必要があります:
- 100g以上の機体は登録義務あり
- 200g以上は航空法対象で飛行場所や条件に制限
- リモートIDの搭載義務(機種によって内蔵あり)
- DID地区・夜間飛行・目視外飛行などには許可申請が必要
適法に使用するには、使用前に国土交通省の「飛行マニュアル」や「ドローン情報基盤システム(DIPS)」の確認をおすすめします。
DJI Flyアプリが動かないときの対処法は?
DJI Flyアプリが動作しない場合、以下の対処法が効果的です:
- アプリが古い可能性 → DJI公式サイトから最新バージョンを再インストール
- スマホのOSバージョンが非対応 → 対応機種リストを確認し、別端末を検討
- USB接続が不安定 → 純正ケーブル使用、別ポートへ変更
- ストレージ不足・バックグラウンドアプリの干渉 →不要アプリの終了と再起動
また、AndroidユーザーはGoogle PlayではなくDJI公式サイトからAPKを直接インストールする必要があります。
DJIとAutel・Parrotとの違いは?
項目 | DJI | Autel Robotics | Parrot |
---|---|---|---|
拠点 | 中国(深圳) | アメリカ | フランス |
主力製品 | Mini / Air / Mavic等 | EVOシリーズ | Anafiシリーズ |
強み | 飛行安定性・自動機能 | 米国内調達対応・色味 | 軽量性・3Dマッピング機能 |
日本での流通 | ◎(広く販売) | △(一部正規代理店のみ) | △(法人利用が中心) |
DJIは価格・性能・アクセサリの面で総合力が高く、一般ユーザーからプロまで幅広いニーズに対応しています。一方、米国の規制対応を重視する法人層ではAutel製品が選ばれることもあります。
DJIドローンは初心者でも扱えますか?
はい、特にDJI Mini 4 ProやMini 2 SEなどは初心者に最適です。
- 自動離着陸・GPS位置保持
- 障害物検知と自動回避
- スマホアプリから簡単操作
- 飛行禁止区域の警告機能(ジオフェンス)
これらの機能により、初めての方でも安心して飛行体験が可能です。安全な場所での練習と、基本ルールの理解から始めることをおすすめします。
DJIはなぜ一部国で禁止されているのですか?
主な理由は、国家安全保障や個人情報保護に関する懸念です。
- 政府機関によるドローン映像・位置データが国外に漏洩する可能性
- 米中対立を背景に「中国製製品」に対する警戒感が高まっている
- DJIが一部軍事・監視用途に関連しているという報道への反応
ただし、一般消費者レベルの使用に対する制限はほとんどの国で存在しません。通常の撮影・趣味利用には問題なく使用できます。
DJIの法人向けサポート体制はどうなっていますか?
DJIは法人向けに専用のソリューションとサポート体制を整えています。
- DJI Enterprise製品の導入支援
- 正規代理店による導入コンサルティング
- 修理・点検・アフターサポート(DJI CARE Enterprise)
- クラウドベースの運行管理ソフト(FlightHub 2)との統合運用
導入相談やトライアル導入を希望する場合は、DJI JAPANやセキド、スカイリンクなどの正規代理店へ問い合わせるのが最も確実です。